[2025年度] 州税控除 (SALT) の上限が4万ドルへ大幅引き上げ

Published On: 12/31/2025By

2025年7月4日に可決された「Big Beautiful Bill法(以下、BBB法)」により、高額な州税を納めている納税者にとって大きなメリットとなる改正が行われました。

これまで年間$10,000に制限されていた州税・地方税 (SALT) の控除上限額が、2025年度より「$40,000」へ大幅に増額されます​​。カリフォルニア州やニューヨーク州など、州所得税や固定資産税が高い地域にお住まいの方にとっては、タックスリターンに大きく影響するニュースです。

この記事では、SALT控除の詳細と、控除制限などについて、例えも交えて解説します。

「項目別控除」とは?

項目別控除 (Itemized Deduction) とは、個人タックスリターンにおいて控除が認められている個人経費のことです。アメリカのタックスリターンでは、一般的に「基礎控除 (Standard Deduction)​​」か「項目別控除 (Itemized Deduction)​」の合計額、いずれか高額な方を選択します。

項目別控除では、以下の個人経費が控除対象となります。

  • 1

    自己負担分の医療費

  • 2

    州税・地方税 (SALT*)

  • 3

    モーゲージ利息・保険

  • 4

    寄付金

  • 5

    災害による損失

  • 6

    その他

*「State And Local Tax」の頭文字をとって「SALT」と呼びます。

2025年度からSALTの上限が4倍

2025年度からSALT控除の上限額が$10,000から$40,000に引き上げられ、SALT控除額と所得制限額は2025年度から2029年度まで毎年1%ずつ増額されることになりました。

これまでは、どんなに高い州税や固定資産税を払っていても控除額が$10,000までとなっていましたが、今後は$40,000まで計上できるため、2025年度からは「基礎控除」から「項目別控除」へ切り替わる可能性があります

制度の概要

  • 適用期間:2025年~2029年

  • 最大控除:$40,000 (夫婦別は$20,000)

  • 対象者 :項目別控除を選択された方

  • 所得額 (MAGI) が$500,000を超えると控除制限あり (夫婦別は$250,000)

米国非居住者 (U.S. Nonresident Alien)については州・地方所得税のみが​適用されます。

2025年度から2029年度の1%増額について

2025年度から2029年度にかけて、SALT控除の上限額と所得制限額が毎年1%ずつ増額されることになります。以下は、毎年1%ずつの増額を表した表です。

[独身、夫婦合算、世帯主の場合]

*夫婦別申告の場合は、全てが半額となります。

2030年度には、SALT控除の上限額が従来の$10,000に戻る予定ですが、今後の税法改正により変更される可能性があります。

MAGIによるSALT控除額の制限について

今回のSALT控除には所得制限が設けられています。 高所得者 (MAGIが一定額を超える方) については、控除上限額が段階的に減額され、最終的に「$10,000」が控除上限額となります。

  • 独身、夫婦合算、世帯主:

    MAGIが$500,000からPhase-out*され、$600,000を超えると控除額が$10,000となります。

  • 夫婦別申告:

    MAGIが$250,000からPhase-out*され、$300,000を超えると控除額が$10,000となります。

*Phase-outとは、所得額がある一定額を上回ると段階的に控除の上限額が減額されることです。

MAGIとは?

ここで使われている「MAGI」は、BBB法独自のMAGIとなります。[例え1]から[例え3]にて使いますので、簡単に説明させていただきます。

  • アメリカに居住している納税者の場合:

    BBB法の所得基準値として使われる「Modified Adjusted Gross Income」は、一般的にAdjusted Gross Incomeと同じである。

  • 日本に住んでいる米国納税者の場合:

    米国外労働所得控除 (Foreign Earned Income Exclusion)を使っている場合は、控除された分を加算することでBBB法のMAGIを算出することができる。

BBB法独自のMAGIについて詳しく知りたい方は、以下のWebサイトをご確認ください。

(参照米国個人タックスリターン – Big Beautiful Bill (BBB法)とMAGIについて)

[例え #1] SALT控除の所得制限なし

カリフォルニア州在住のAさん (H-1Bビザ、滞在3年目) が2025年度のタックスリターンを独身(Single) ステータスで申告し、項目別控除 (Itemized Deduction) を選択したとしましょう。

以下は、AさんのMAGIと年間に支払った州税の内訳です。

  • MAGI   :$200,000

  • 州税所得税:$20,000 (SALT)

  • 固定資産税:$10,000 (SALT)

Aさんが支払った州所得税と固定資産税の合計額 (SALT) は$30,000となり、MAGIが所得制限以下 (Single : $500,000)であるため、$30,000がSALT控除となります。

もしAさんが支払った固定資産税が$25,000に変更された場合、SALTの合計額が$45,000 ($20,000 + $25,000) となりますが、控除できるSALTは$40,000に制限されているため、$40,000が控除対象となります。

[例え #2] SALT控除の所得制限あり

ニューヨーク州在住のAさん (グリーンカード) とBさん (グリーンカード)が、2025年度のタックスリターンを夫婦合算 (Married Filing Jointly) ステータスで申告し、項目別控除(Itemized Deduction)を選択したとしましょう。

以下は、AさんとBさんのMAGIと、年間に支払ったSALTの内訳です。

  • MAGI:$525,000

  • SALT :$35,000

AさんとBさんのMAGIが$500,000を超えているため、SALT控除限度額がPhase-outされ、控除できるSALT控除の限度額が$32,500となります。算出方法は以下のとおりです。

  • 1

    $525,000 (MAGI) - $500,000 (Phase-out) = $25,000

  • 2

    $25,000 x 30% (規定率) = $7,500 (減額)

  • 3

    $40,000 (上限額) - $7,500 = $32,500 (Phase-out後の上限額)

よって、AさんとBさんのSALT控除額は$32,500に制限されます。ただ、もしAさんとBさんがお支払いしたSALTが$30,000であった場合、全額控除できることになります。

[例え #3] 米国非居住者・夫婦別の場合

マサチューセッツ州に居住されており、既婚者であるAさん (J1ビザ、1年目) が、2025年度のタックスリターンを項目別控除 (Itemized Deduction) で申告したとしましょう。

Aさんは既婚者ですが、米国非居住者 (U.S. Nonresident) であるため、夫婦合算申告 (Married Filing Jointly) で申告するができず、夫婦別 (Married Filing Separately) で申告する必要があります。

以下は、AさんのMAGIと、年間に支払った州税の内訳です。

  • MAGI   :$200,000

  • 州所得税額:$10,000

  • 固定資産税:$5,000

Aさんは、Phase-outの対象とはなりませんが、米国非居住者が使えるSALT控除は「州・州自治体の所得税のみ」であるため、$10,000 (州税源泉)のみが控除対象となり、固定資産税 ($5,000)はSALT控除対象とはなりません。

この記事では、複雑な米国の税法やルールをできる限り分かりやすくご理解いただく目的でお伝えしています。ただ、納税者の状況により、異なるケースもございますので、予めご了承ください。

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