[2025年度] 残業代(オーバータイム)が控除対象に。BBB法による新ルールの仕組みと注意点

Published On: 01/23/2026By

2025年7月4日に可決された「Big Beautiful Bill法」により、給与所得者の方にとってメリットのある新しい税制が導入されました。

2025年度から2028年度までの期間限定で、オーバータイム (残業代) によって得た所得の一部を控除できるという税制度で、かなりの節税効果が期待できます。

ただし、この制度は「残業代の全額」が対象になるわけではなく、少し特殊な計算ルールがあります。 この記事では、会社員や時給労働者の方が知っておくべきオーバータイム控除の仕組みについて、分かりやすく解説します。

オーバータイム控除の制度概要

まずは、制度の概要を確認しましょう。 この控除は、連邦法などに基づいて支払われるオーバータイム賃金が対象で、米国非居住者(Nonresident Alien)の方にも適用されます。

制度概要

  • 適用期間:2025年~2028年まで

  • 最大控除:$25,000 (夫婦合算)、$12,500 (合算以外)

  • 対象額 :割増分が控除対象

  • 所得額 (MAGI)による控除制限あり

控除されるのは「割増分」のみ

この制度で最も大切なのが、「いくら控除できるのか」という点です。 今回の改正では、受け取った残業代の総額ではなく、通常の時給に割増された分」のみが控除の対象となります。

例えば、以下のような条件で働いていたとします。

  • 通常の時給:$20
  • 残業の時給:$30

この場合、残業1時間あたりの$30について、税務上は以下のように考えます。

  1. 通常賃金 ($20) : ​オーバータイム​控除の対象外​です。​​​

  2. 割増賃金 ($10) : オーバータイム控除の対象となります。

「残業代がまるごと非課税になる」と勘違いされる場合がありますので、この点をあらかじめ理解しておきましょう。

Form W-2のどこに記載されるか?

ご自身の年間割増賃金がいくらになるかは、会社から発行されるForm W-2で確認できます。 2026年1月以降に受け取る Form W-2 の以下の箇所をチェックしてみてください。

上記の赤いボックス (Box 12)に、"Code TT"として年間の割増賃金額が記載されます。

所得額による控除制限について

他の控除制度と同様に、Modified Adjusted Gross Income (MAGI) が一定額を超える方については、控除額が段階的に減額 (Phase-out) される仕組みになっています。

  • Single, Head of Household, Married Filing Separately:

    MAGIが$150,000からPhase-out*され、$400,000を超えると控除額が$0となります。

  • Married Filing Jointly:

    MAGIが$300,000からPhase-out*され、$550,000を超えると控除が$0となります。

*このPhase-outは、所得額がある一定額を上回ると段階的に控除額が減額されることです。

[例え #1] 所得制限がない場合

イリノイ州在住のAさん (Jビザ、3年目) は、コンサルタントとして仕事をしており、2025年度のタックスリターンを独身 (Single) ステータスで申告したとしましょう。

以下は、Aさんの「MAGI」と「オーバータイム割増分」の内訳です。

  • MAGI:$150,000 (内オーバータイム割増分$10,000)

AさんのMAGIは、Phase-outの$150,000を下回っているため、オーバータイム割増分の所得 ($10,000)を全額控除することができます。

[例え #2] 所得制限により減額される場合

カルフォルニア州在住のAさん (グリーンカード) は、ソフトウェア・エンジニアとして仕事をしており、2025年度のタックスリターンを夫婦合算(Married Filing Jointly) ステータスで申告したとしましょう。

以下は、Aさんの「MAGI」と「オーバータイム割増分」の内訳です。

  • MAGI:$400,000 (内オーバータイム割増分$22,000)

AさんのMAGIは、Phase-outの$300,000を上回っているため、控除できるオーバータイム賃金が$12,000となります。算出方法は以下のとおりです。

  • 1

    $400,000 (MAGI) - $300,000 (Phase-out) = $100,000

  • 2

    $100,000 ÷ $1,000 (規定額) = 100 Units

  • 3

    100 Units x $100 (規定額) = $10,000 (減額)

  • 4

    $22,000 (オーバータイム) - $10,000 (減額) = $12,000

注意点

Sコーポレーション (S-Corporation)の事業主は、ご自身に給与を支払う必要がありますので、このオーバータイム控除を活用できるのではないかと思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

Sコーポレーションの株式を20%以上保有し、事業に積極的に関与している事業主である場合、FLSA Protectionの対象外となるため、オーバータイム控除の対象外となりますので、ご留意ください。

この記事では、複雑な米国の税法やルールをできる限り分かりやすくご理解いただく目的でお伝えしています。ただ、納税者の状況により、異なるケースもございますので、予めご了承ください。

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