増加する特殊詐欺
米国のFederal Trade Commission (FTC) の調査によると、2022年にアメリカでインターネットやSNSを利用した特殊詐欺損害額は$88億ドルに達しており、2021年と比べると44%も増加しました。
また、BeenVerified's Phone Scan Monitor によると、2022年に米国国税庁職員 (IRS)と名乗る者から、納税者に電話をかけ、お金をだまし取ろうとする件数が、2021年と比べると、55.4%も増加しました。
アメリカでの税に関する特殊詐欺は、電話による手口以外にも、フィッシング詐欺や架空のIRS通知書を郵送する手口などもあり、今後も増加していくと思われます。
税金の詐欺手口
現在、IRSが注意を呼びかけている税に関する特殊詐欺の手口は3つあります。
手紙による詐欺
これは詐欺師がIRSの手紙に酷似した架空の手紙をあなたに郵送し、架空の未納金額と偽の支払方法を記載する手口
E-Mail・SNSによるフィッシング詐欺
これは詐欺師がIRSと名乗り、IRSのロゴの付いたメッセージと架空のIRSサイトへのリンクを被害者に送信し、銀行情報と個人情報を入手させるように誘導し、詐欺師が被害者の銀行口座へアクセス情報を入手する手口
電話による詐欺
これは詐欺師がIRSのエージェントを装い、あなたを恐怖と焦りに陥らせるように脅し、Gift CardやPaypalで支払わせるように命令する手口
この記事では、手紙による税に関する詐欺について説明していき、実際にあった架空のIRS通知書と正式なIRSの通知書を比較していきます。
通知書による手口
これは詐欺師が納税者に対して、IRSの通知書によく似た架空の通知書 (Notice) を納税者に郵送し、架空の納税額と支払い方法を記載し、納税者からだまし取ろうとする手口です。
ここでは、納税者がよく目にするIRSの通知書 "Notice CP2000" を紹介し、IRSから郵送される正式なNotice CP2000と実際に納税者が受け取った架空のNotice CP2000を比較していきます。
Notice CP2000とは?
”Notice CP2000"とは、納税者が提出した確定申告書の情報がIRSの記録と一致しない場合にIRSが発行する通知書で、一致しない項目と変更内容、確定申告書の再計算を納税者に通知するために使われます。
納税者がNotice CP2000の内容に異議がない場合には支払いするように記載していますが、内容に異議がある場合は、納税者に返事する猶予 (約30日以内)を与えています。
本物と偽物の比較
ご覧の通り、通知書にIRSのロゴが入っており、書式が酷似しているため、本物との区別するためには細部に注意を払う必要があります。
また、請求額が高額ではないため、被害者が通知書の内容を特に調査せずに請求額を支払わせるように仕向けているようにも見受けられます。
私がこの架空の手紙をパッと見たとき、本物と区別がつきませんでしたが、手紙の内容を読むと、違和感を覚える部分がありました。
ただ、これが架空のCP2000であると確信したのは、この通知書の枚数が2ページしかなかったことです。IRSが確定申告書変更点と申告書の再計算を納税者に説明せずに請求をする事はしません。
ポイント
- 正式なIRSの通知書には、納税者が提出した申告書の変更内容や請求額の計算について詳細・明確に説明しています。また、納税者はその通知書に対応するための猶予が与えられています。
- 詐欺師は納税者の個人情報を持っていますが、確定申告書の詳細については説明できないため、架空の納付額とお支払い方法のみを提示するしかと思われます。
騙されないTip
通知書に記載している請求額の説明と計算方法が詳細に説明されているかを確認し、納税者に通知書に対応する猶予を与えているかを確認してください。
請求額が低いから、調査せずに安易に納付の支払いに応じない。
IRSロゴの下にある住所や通知書に記載しているチェック郵送先がIRSの住所であるかをIRSのWebsiteを使って確認してください。
もしよく分からない場合は、確定申告書を担当したTax Professionalに相談してください。もし、TurboTaxやHR Blockを使用して自分で申告している場合は、提出した申告書コピーと通知書のコピーを信頼できるTax Professionalに送信する事をお勧めいたします。
目次
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- アメリカ確定申告 (タックスリターン) – 代表的な税務書類04/19/2024
- アメリカのタックスリターン:還付金の受取り方法・還付金ステータス確認などについて01/15/2024
- 2023年度のアメリカ個人確定申告【タックスリターン】- 申告日12/19/2023
- 個人事業主や自営業者のタックスリターンについて12/11/2023