アメリカの税金詐欺 – 電話による手口

Published On: 03/28/2023By

増加する特殊詐欺

米国のFederal Trade Commission (FTC) の調査によると、2022年にアメリカでインターネットやSNSを利用した特殊詐欺損害額は$88億ドルに達しており、2021年と比べると44%も増加しました。

また、BeenVerified's Phone Scan Monitor によると、2022年に米国国税庁職員 (IRS)と名乗る者から、納税者に電話をかけ、お金をだまし取ろうとする件数が、2021年と比べると、55.4%も増加しました。

アメリカでの税に関する特殊詐欺は、電話による手口以外にも、フィッシング詐欺や架空のIRS通知書を郵送する手口などもあり、今後も増加していくと思われます。

税金の詐欺手口

現在、IRSが注意を呼びかけている税に関する特殊詐欺の手口は3つあります。

  • 手紙による詐欺

    • これは詐欺師がIRSの手紙に酷似した架空の手紙をあなたに郵送し、架空の未納金額と偽の支払方法を記載する手口
  • E-Mail・SNSによるフィッシング詐欺

    • これは詐欺師がIRSと名乗り、IRSのロゴの付いたメッセージと架空のIRSサイトへのリンクを被害者に送信し、銀行情報と個人情報を入手させるように誘導し、詐欺師が被害者の銀行口座へアクセス情報を入手する手口
  • 電話による詐欺

    • これは詐欺師がIRSのエージェントを装い、あなたを恐怖と焦りに陥らせるように脅し、Gift CardやPaypalで支払わせるように命令する手口

この記事では、電話による税に関する特殊詐欺について説明していき、実際にあった被害例を紹介します。

電話による手口

電話による詐欺は、犯人が親族や公共・金融機関の職員になりすまし、被害者に電話をかけ、巧妙なテックニック使い、個人情報や銀行情報を被害者からだまし取り、お金を指定口座に振り込むように指示する手口です。

日本では、犯人が子供や親族のフリをして、被害者に「お金が必要」など電話をかけ、指定口座に振り込むように指示を出す「オレオレ詐欺」の手口によく似ています。

米国税金に関する詐欺電話

アメリカの税に関する電話による詐欺は、IRSの職員と名乗る犯人から電話を掛かってきて、「IRSの記録によると、あなたに税金の未納があります。今すぐお支払いください。今すぐ払わない場合は、私が警察を呼び、30分以内にあなたを逮捕します。」と強気に脅し、被害者が恐怖のあまり支払ってしまうケースが相次いで起きています。

被害実例

フランク・ガルシアさん

元NFL選手であるフランク・ガルシアさんが、地元ラジオのホストをしている時、IRS職員と名乗る犯人から電話がかかってきて、実在するIRS職員番号 (IRS Agent ID)を述べた後、フランクさんの現住所、生年月日、ソーシャルセキュリティ番号の下4桁を述べた後、「あなたには、税金の未納があり、今すぐに払わないと30分以内に警察が来て、あなたを逮捕し、刑務所にぶち込みます。」と言われました。

フランクさんは、刑務所に入るとラジオ・ホストの仕事を失い、家族に迷惑をかけてしまうため、偽IRSエージェントの言われるままに、複数のPaypal口座に$500を入金してしまい、合計で$4,000の詐欺被害にあいました。

キン・コウさん

New Jersey州に住んでいるキン・コウさんは、IRS職員と名乗る犯人から電話を受け、実在するIRS職員番号 (IRS Agent ID)を述べた後、キンさんの本人確認のために、キンさんの正確な現住所と生年月日を述べ、「あなたの税金未納分を直ちに払ってください。すぐに払わない場合は懲役5年となり、あなたの車、家、銀行口座をすべて没収します。」と述べ、キンさんが犯人の言っている事に混乱・戸惑っていると、犯人が架空の逮捕状を電話越しで読み上げ、キン・コウさんは恐怖のあまり、$5,000を送金してしまいました。

IRS職員が電話でしないこと

  • 電話を通して、即時支払いを要求する事はありません。

  • もし税金の請求がある場合は、まず通知書を納税者に郵送します。

  • クレジットカード番号やデビットカード番号を電話で聞くことはしません。

  • 警察を呼び、逮捕すると脅しません。

  • 法的措置を取ると脅しません。

被害に合わないためのTip

  • IRS職員と名乗る者から、身に覚えのない税金未納分について電話をかけきた場合は、その場で電話を切り、IRS Online Accountを確認し、未納分が事実かを確認してください。

  • もしIRSから電話がかかってくる場合は、下記のようなことを要求することはありません。

    • Voice Mailに支払いを要求するメッセージは残しません。
    • 未納があるから、警察へ通報することや国外退去するなどの脅しはしません。
    • プリペイドデビットカード (Prepaid Debit Card)、ギフトカード (Gift Card)、電子送金 (Wire Transfer), ペイパル (PayPal)など、不自然な支払い方法を要求する事はありません。
    • チェックで支払う場合、支払先を"United States Treasury"以外にするように指示することはありません。
  • もし、定かではない場合は専門家に連絡する事をお勧めいたします。CPAは納税者の代わりにIRS職員と直接話し、本当に問題があるかを確認する事ができます。