アメリカの電気自動車購入によるタックスクレジットについて
2024年1月1日より、EVタックスクレジット【Clean Vehicle Tax Credit】を受ける資格のある納税者が、Energy Credit Onlineに登録しているEV販売業者から電気自動車【Electric Vehicle】を購入する場合、EVタックスクレジットが購入価格から差し引かれます。
この変更の背景には、2022年のインフレ抑制法【Inflation Reduction Act】により、エネルギー安全保障や気候変動の対策として、米国における電気自動車の普及を促進する政策を米国政府が掲げており、電気自動車購入による税優遇のタイミングを購入する際に付与することで、電気自動車の購入意欲を高める目的があります。
この記事では、電気自動車の購入により、付与されるEVタックスクレジットについて解説していきます。
EVタックスクレジットとは、IRSが認定している電気自動車(プラグイン車またはプラグイン・ハイブリッド車)を購入した納税者に最大で$7,500の税額控除(タックスクレジット)が付与されることです。
このクレジットは、返金不可【Non-refundable】で、未使用分は翌年に繰越されません。
例えば、納税者の税額が7,000ドルで、EVタックスクレジットが7,500ドルである場合、税額が0ドルになりますが、500ドルは還付されません。また、未使用分の500ドルは翌年に繰越されません。
納税者がEVタックスクレジットを受ける資格を有するかを判断するためには、納税者の調整後総所得額【Adjusted Gross Income】が以下の額を下回る必要があります。
電気自動車が新車である場合、EVタックスクレジット額は最大で7,500ドルまでです。一部、バッテリーの規定を満たしていない電気自動車である場合、クレジット額が3,750ドルになります。(04/17/2023以降)
電気自動車が中古車である場合、 購入額の30%もしくは最大$4,000、どちらか低い方がクレジット額になります。(01/01/2023以降)
クレジット額については、以下のWebサイトにて、電気自動車の基本情報を入力することにより、上記の要件を満たしているかを確認することが可能です。
Webサイト:fueleconomy.gov
従来のEVタックスクレジットは、電気自動車を購入した翌年のタックスリターンにて、Form 8936【Qualified Plug-in Electric Drive Motor Vehicle Credit】に購入した電気自動車の詳細を記入し、タックスクレジットが付与されました。
従来のEVタックスクレジット付与の問題点は、電気自動車タックスクレジットが付与されるまでに時間がかかること、そして、その電気自動車がIRSに認定されているかを調査する必要があり、納税者にとって負担がかかりました。
2024年度より、Energy Credit Onlineに登録しているEV販売業者から電気自動車を購入する場合、EVタックスクレジットがその時点で付与され、購入価格から差し引かれるようになります。
大まかな流れは以下のとおりです。
- 1EV販売業者がIRSの「Energy Credit Online」に登録する
- 2
納税者が電気自動車を購入する
- 3EV販売業者が納税者の調整後総所得額を確認する
- 4
購入額からEVタックスクレジットが差し引かれる
- 5
EV車販売業者が売却情報をIRSへ報告する
- 6
IRSがEV販売業者にクレジット額を送金する
注意点
EV販売業者がIRSの「Energy Credit Online」に登録していない場合は、従来どおりの方法でEVタックスクレジットが納税者に付与されます。
もし、購入する際にEVタックスクレジットの付与をご希望の方は、事前にEV販売業者に確認を取る必要があります。
EVタックスクレジットに適用・付与されるためには、3つの条件を満たす必要があります。
電気自動車がEVタックスクレジットに認定されているかを確認するためには、以下の条件を満たす必要があります。
これらを調査することは、納税者にとって大きな負担となりますが、以下のWebサイトにて、電気自動車の基本情報を入力することにより、上記の要件を満たしているかを確認することが可能ですので、ぜひご利用ください。
Webサイト:fueleconomy.gov
電気自動車がEVタックスクレジットの対象であるかは、その電気自動車の販売価格 【Manufacturer Suggested Retail Price, or MSRP】が以下の規定額を下回っている必要があります。
納税者がEVタックスクレジットを受ける資格を有するかを判断するためには、上記に記載しました納税者の調整後総所得額により決まります。さらに、2024年度からは電気自動車を購入する年度に予想される調整後総所得額【Adjusted Gross Income】を提示することも可能となりました。
よって、EV販売業者が購入者の調整後総所得額の提示を購入する際に求めますので、購入前に前年度の調整後総所得額、もしくは今年度の予想される調整後総所得額を予め準備しておく必要があります。
注意点
購入した際に提示した予想される調整後総所得が、規定額を下回っても、実際にタックリターンを申請した際の調整後総所得が、規定額を上回る場合、EVタックスクレジットを返納する必要がありますので、注意が必要です。
EVタックスクレジットについては、税法が頻繁に変わりますので、電気自動車を購入前に専門家に確認を取ることをお勧めいたします。
特に中古車を購入する場合、過去3年間に1度でも中古車購入によるEVタックスクレジットを受けた納税者は、EVタックスクレジットを受けることができませんので、ご注意ください。