FATCA申告書の対象者と対象海外口座:未申告による罰金の解説

Published On: 10/26/2023By

FATCA申告書とは、申告対象者が保有しているアメリカ以外の金融資産の詳細をForm 8938に記入し、他のタックスリターンと併せて、米国内国歳入庁【IRS】に提出する申告書のことです。

2010年に導入されたFATCA【Foreign Account Tax Compliance Act】の目的は、米国納税者が保有しているアメリカ以外の金融資産の開示を義務付けることで、その資産に関連する所得の脱税を阻止する目的で制定されました。

一方で、IRSがアメリカ以外の金融機関に対して米国人等」が保有している口座情報 (氏名、米国納税者番号、口座番号、口座残高など) を定期的にIRSへ報告することが求められています。

「米国人等」は、米国市民権保持者、永住権保持者 (グリーンカード)、税法上の米国居住者を指します 。

2013年に日本の公的機関および米国財務省が【国際的な税務コンプライアンスの向上及び米国のFATCA実施の円滑化のための米国財務省と日本当局の間の相互協力及び理解に関する声明】を発表しました。よって、日本の金融機関は、米国人等に該当する口座保有者の情報を定期的にIRSへ報告しています 。

そのため、「米国人等」が保有している日本の金融口座情報は、IRSが把握している事になり、FATCA申告の対象者であるにも関わらず未申告が指摘されると、その対象者に対して高額な罰金が科せられる可能性があります。

この記事では、FATCAについてわかりやすく解説していきます。

FATCA申告の対象者

FATCA申告の対象者は、以下2つの条件に該当する方が対象者となります。

  • 1

    米国市民権または永住権保持者、税法上の米国居住者、Dual-Status申告者のいずれかに該当する場合

  • 2

    米国外の金融資産の年間最高残高もしくは年末残高の合計額が以下の一定額を超えている場合

米国外居住とは?

FATCA申告における「米国外居住」とは、その国の【Bona Fide Resident】である方です。Bona Fide Residentと判定されるには、申告対象者が1年を通して、その国に居住していた、もしくは、12カ月のうち、330日以その国に居住していた方を指します。

申告対象となる海外金融資産

FATCA申告の対象となるアメリカ以外の金融資産は以下のとおりです。

  • 銀行口座 (預貯金、定期預金、財形貯蓄)

  • 証券口座 (投資信託、オプション、先物取引)

  • 個人・企業型確定拠出型年金口座

  • 確定給付企業年金口座

  • 貯蓄型生命保険口座

  • 個人年金口座

  • 退職金口座

  • 米国外パートナーシップ持分

  • 米国外Hedge Fund、及びPrivate Equity Fund

  • 証券口座に保有していない米国外株式・有価証券

必要となる情報

FATCA申告において、必要となる金融資産の情報は以下のとおりです。

  • 金融機関名

  • 金融機関の住所

  • 資産・口座番号

  • 使用している通貨

  • 年間最高残高情報

  • 開設・解約情報

  • 金融資産の所得情報

年間最高残高額について

FATCA申告における年間最高残高額の記入は、正確である必要があります。もし証券口座に保有されていない米国外株式やパートナーシップ持分など、最高評価額が定かではない場合は、評価額の計算を依頼する、もしくは財務諸表などをもとに、できる限り正確に近い評価額を算出する必要があります。

申告日

FATCA申告は通常のタックスリターンに併せて提出しますので、FATCAの申告日は、通常の米国個人確定申告と同じく、 4月15日となります。

もし間に合わない場合は、通常のタックスリターンの延長申請を行うことで、FATCA申告も同じく6カ月延長されます。

FATCA未申告による罰金額

FATCA未申告や不正確な申請を行った場合の罰金額は$10,000 - 日本円でおおよそ150万円となります。また、IRSからFATCAについての通知書が届いても対応しない場合、罰金額が毎月1万ドルの罰金が追加されます。罰金額の上限は最大で5万ドルです。

また、未申告の金融資産により生じた所得により発生した追徴税に対しては、40%の罰金が追加されます。

FATCA未申告である場合の対処法

FATCA申告について知らず、複数年に渡り申告漏れがある場合、最適な対処方法は、IRSからFATCA未申告についての通知書を受けとる前に、 自主的に過去3年分の修正申告書を提出することです。

必要となる情報は上記にも述べたとおり、残高情報や口座番号だけでなく、その金融資産に関連する所得情報 (利息や配当金など) も必要になりますので、対象となる金融資産の情報をいち早く集め、専門家に相談することをお勧めいたします。

2022年8月16日の【Inflation Reduction Act】により、米国政府がIRSに800億ドル―日本円でおよそ12兆円の予算が投じられることとなりました。IRSは投じられた予算の約57% である約450億ドルを取り締り (Enforcement)に振り分けると声明を出しており、FATCA申告やFBAR申告などの情報開示申告書に対しての取り締りを強化すると予想されています。

当事務所では、複数年に渡りFATCA未申告である方へのサービスを提供しています。FATCAについて知らず、FATCA未申告をいち早く解決したい方は、お問い合わせください。

必要となる情報を明確に提示し、早急に対応いたします。

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