アメリカの税金詐欺 – フィッシングによる手口

Published On: 03/27/2023By

増加傾向にある特殊詐欺

米国のFederal Trade Commission (FTC) の調査によると、2022年にアメリカでインターネットやSNSを利用した特殊詐欺損害額は$88億ドルに達しており、2021年と比べると44%も増加しました。

また、BeenVerified's Phone Scan Monitor によると、2022年に米国国税庁職員 (IRS)と名乗る者から、納税者に電話をかけ、お金をだまし取ろうとする件数が、2021年と比べると、55.4%も増加しました。

アメリカでの税に関する特殊詐欺は、電話による手口以外にも、フィッシング詐欺や架空のIRS通知書を郵送する手口などもあり、今後も増加していくと思われます。

税金の詐欺手口

  • 手紙による詐欺

    これは詐欺師がIRSの手紙に酷似した架空の手紙をあなたに郵送し、架空の未納金額と偽の支払方法を記載する手口

  • E-Mail・SNSによるフィッシング詐欺

    これは詐欺師がIRSと名乗り、IRSのロゴの付いたメッセージと架空のIRSサイトへのリンクを被害者に送信し、銀行情報と個人情報を入手させるように誘導し、詐欺師が被害者の銀行口座へアクセス情報を入手する手口

  • 電話による詐欺

    これは詐欺師がIRSのエージェントを装って、あなたを恐怖と焦りに陥らせるように脅し、Gift CardやPaypalで支払わせるように命令する手口

この記事では、E-Mail・SNSによる税に関するフィッシング詐欺について説明していき、実際にあったフィッシング詐欺のEmaiを見ていきましょう。

フィッシング詐欺について

通販サイトや大手銀行と名乗る送信者から、メールやSMSを通して、下記のような内容のメッセージを見かけたこと、受信されたことはございますか?

あなたのアカウントに不正アクセスがありました。早急に以下のURLに行き、お名前、銀行情報、住所、暗証番号をご登録ください。

このURLに行くと、本物の通販サイトや大手銀行サイトと酷似したサイトにつながり、ダマされてしまった方が個人情報と銀行情報を入力してしまうと、詐欺師があなたの銀行アクセス情報を盗み取られてしまいます。

この詐欺手口をフィッシング (Phishing)と言います。

米国税金に関するフィッシング

アメリカの税に関するフィッシングは、詐欺師がIRSと名乗り、納税者にE-MailやSMSを使って、「あなたの確定申告書を再計算したところ、あなたに還付が発生したので、その還付金を受け取るために、下記のURLに行って、個人情報を入力してください。」とのような文面で、ソーシャルセキュリティ番号や銀行情報を入力させるように誘導してきます。以下は実際にあった偽IRSメールです。

参考:Michigan State Attorney General

正式なIRSのロゴが付いていますので、信憑性が高く、還付金 (Refund) があると記載していますので、「還付ラッキー」と思い、"Get Started" のクリックを誘導しています。

詐欺師が申告書を提出?

タックス・シーズンになると「IRSが確定申告受付を始めましたので、Form W-2をこのメールに送信してください」とのような電子メールを詐欺師が送信し、被害者がその通りにForm W-2を送信してしまうと、詐欺師がその被害者の確定申告手続きを還付が大きくなるように申請し、発生した還付金を盗み取る事もあります。

実例

詐欺師がアメリカのタックスリターンについてよく分からない外国人を狙い、「タックスリターンを安く申請してあげる」と言い、還付金の振り込みを納税者の銀行口座ではなく、詐欺師の銀行口座に設定して、還付金を盗み取られ、被害者はその還付金を受け取ることができず、さらにコロナの給付金も盗み取られ、IRSに事情を話しても「何もできない」と言い、詐欺師がどこにいるか分からず、連絡も取れませんでしたので、被害者が諦めてしまったケースがあります。

上記は実際に私が関わったケースです。

給付金を狙ったフィッシング

Covid-19 (コロナウイルス)が世界中にはびこり、米国連邦政府から納税者を救済するためにEconomic Impact Payments (a.k.a. Stimulus Check)が給付された際も、この給付金に関するPhishing詐欺が多く送信されました。下記はIdentity Theft Resource Centerが納税者から受け取ったStimulus Checkに関するPhishing Emailです。

参考:Identity Theft Resource Center

このように政府の動向や世界情勢の混乱を利用し、詐欺をする絶好の機会を常に狙っている事が伺えます。

上記以外にも偽のForm W-8BENを添付した電子メールを送信し、個人情報を盗もうとする事例もありました。このフィッシング詐欺の手口は、年々巧妙になっており、今後はChat GPTなどのAI技術を悪用し、さらに巧妙になると予想されます。

騙されないTip

  • IRSはE-MailやSNSにより、納税者の個人情報や銀行口座情報を聞くような事は絶対にしません!(重要)

  • もし納税者に未納・還付がある場合は、IRSは最初に未納額・還付額とその理由を説明している通知書を納税者に郵送します。

  • IRSを名乗る方からの電子メールを受け取った場合:

    1. そのメールは開かない
    2. 貼っているリンク(URL)をクリックしない
    3. 添付ファイルなどを開かない
    4. ゴミ箱に入れましょう